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2026.03.09

なぜ犬猫は虫歯になりにくいのか?人間との違いを獣医師が解説|犬猫の歯科の本当の問題は歯周病

犬や猫は「虫歯にならない」と聞いたことがある飼い主さんも多いのではないでしょうか。
実際、人間では非常に多い虫歯(う蝕)ですが、犬猫ではほとんど見られません。

しかし、だからといって安心はできません。
犬や猫では虫歯の代わりに、歯周病が非常に多いという大きな問題があります。

実際に、3歳以上の犬猫の約80%が歯周病を持っていると報告されています。

この記事では

  • なぜ犬猫は虫歯になりにくいのか
  • 人間と犬猫の歯の違い
  • 犬猫に多い歯の病気
  • 歯周病を予防する方法

について、比較生物学的な視点も交えて解説します。

犬猫は本当に虫歯にならないの?

結論から言うと、

犬猫でも虫歯は起こります。

ただし、人間に比べると発生頻度は非常に低いです。

人では虫歯は最も多い病気の一つですが、
犬猫では歯科疾患の中で虫歯が占める割合は1%未満とされています。

参考
American Veterinary Dental College
https://avdc.org/pet-dental-care/

そのため、動物病院で歯科診療を行っていても
虫歯に遭遇するケースはかなり少ないのが実際です。

では、なぜ犬猫は虫歯になりにくいのでしょうか。


理由① 歯の形が人間と違う

犬や猫の歯は、人間とは大きく形が異なります。

人の歯は

  • 平ら
  • 食べ物をすりつぶす形

をしています。

一方、犬猫の歯は

  • とがっている
  • 切る・引き裂く形

になっています。

特に犬や猫の奥歯には

裂肉歯(carnassial tooth)

と呼ばれる肉を切るための歯があります。

この歯はハサミのように働き、食べ物を細かく砕くのではなく
切断する構造になっています。

そのため

  • 食べ物が歯に溜まりにくい
  • 糖が長時間歯に残りにくい

という特徴があります。

結果として、虫歯の原因となる環境が作られにくいのです。


理由② 食生活が違う

虫歯は主に

糖質

を栄養とする細菌によって起こります。

虫歯菌は糖を分解して

を作ります。

この酸が歯の表面(エナメル質)を溶かすことで虫歯が発生します。

人間は

  • ご飯
  • パン
  • お菓子
  • 砂糖

など糖質を多く摂取します。

一方で犬猫の食事は

タンパク質・脂質が中心

です。

そのため

虫歯菌が増殖しにくい環境になっています。


理由③ 口腔内の細菌が違う

人と犬猫では、口の中の細菌叢も大きく異なります。

人では

  • Streptococcus mutans

などの細菌が虫歯の原因になります。

しかし犬猫の口腔内では

これらの細菌はあまり多くありません。

そのため、虫歯が起こりにくいと考えられています。

参考
Merck Veterinary Manual
https://www.merckvetmanual.com/digestive-system/diseases-of-the-teeth-and-gums-in-small-animals


理由④ 唾液の性質

唾液は虫歯の発生に大きく関わっています。

犬猫の唾液は

  • pHが高い(アルカリ性)
  • 酸を中和する力が強い

とされています。

そのため、虫歯の原因となる酸が発生しても
歯が溶けにくい環境になっています。


しかし犬猫は歯周病になりやすい

虫歯は少ない犬猫ですが、

代わりに多いのが

歯周病

です。

歯周病とは

歯の周囲の組織

  • 歯ぐき
  • 歯槽骨

に炎症が起こる病気です。

歯周病が進行すると

  • 強い口臭
  • 歯ぐきの腫れ
  • 歯のぐらつき
  • 歯の脱落

などが起こります。

さらに重症化すると

顎の骨が溶ける

こともあります。


歯周病は全身の病気とも関係

歯周病は口の中だけの問題ではありません。

研究では

歯周病がある犬では

  • 心臓病
  • 腎臓病
  • 肝臓病

との関連が指摘されています。

参考
Journal of Veterinary Dentistry
https://journals.sagepub.com/home/jvd

歯周病菌が血流に乗り
全身に影響する可能性があるためです。


歯周病のサイン

以下のような症状が見られたら
歯周病の可能性があります。

  • 口臭が強い
  • 歯石がついている
  • 歯ぐきが赤い
  • よだれが増えた
  • 食べ方が変わった

これらの症状がある場合は
動物病院での歯科検査をおすすめします。


歯周病を防ぐには

犬猫の歯周病予防で最も重要なのは

歯磨き

です。

歯垢は

2〜3日で歯石に変わる

と言われています。

歯石になると

歯磨きでは除去できません。

そのため

  • 毎日の歯磨き
  • 定期的な歯科検診

が重要になります。


動物病院での歯科治療

歯石が多く付着している場合は

スケーリング(歯石除去)

を行います。

この処置は

  • 歯周ポケットの洗浄
  • 歯の状態確認
  • 必要な抜歯

などを安全に行うため

全身麻酔下で実施するのが一般的です。

参考
American Veterinary Dental College
https://avdc.org/animal-owner-resources/


まとめ

犬や猫は人間に比べて

虫歯になりにくい動物

です。

その理由は

  • 歯の形
  • 食生活
  • 口腔内細菌
  • 唾液の性質

などの違いによります。

しかしその代わりに

歯周病は非常に多い病気

です。

犬猫の健康を守るためには

  • 歯磨き
  • 定期的な歯科チェック

がとても重要になります。


葛西中央どうぶつクリニックでは

当院では犬猫の歯科診療として

  • 歯周病治療
  • 歯石除去
  • 抜歯
  • 口腔内検査

を行っています。

口臭や歯石が気になる場合は
お気軽にご相談ください。

早期に治療を行うことで、
大切なペットの健康を守ることにつながります。江戸川区葛西でお困りの方は葛西中央どうぶつクリニックへご相談ください

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