2026.01.24
犬猫の歯が折れた・ぐらつきがあるときに考えられる原因と治療法
はじめに|「犬猫の歯が折れた」「歯がぐらついている」と気づいたら
「犬の歯が折れている気がする」
「猫の歯がぐらぐらしている」
「硬いおやつを噛んだあとから口を気にするようになった」
このような症状で動物病院を受診されるケースは、実は年々増えています。
犬猫の歯の破折(はせつ)や動揺(ぐらつき)は、見た目以上に強い痛みや感染を伴っていることが多く、放置すると顎の骨や全身状態にまで影響することもあります。
この記事では、
- 犬猫の歯が折れる・ぐらつく原因
- すぐ受診すべき危険なサイン
- 治療方法(抜歯だけではない選択肢)
- 日常生活での予防法
について、獣医師の視点から詳しく解説します。
犬猫の歯が折れる(歯の破折)とは?
歯の破折とは何か
歯の破折とは、歯の一部が欠けたり、割れたりする状態を指します。
犬猫では特に、
- 犬歯(牙)
- 裂肉歯(奥歯)
に多くみられます。
破折の程度はさまざまで、
- 表面のエナメル質のみ
- 象牙質まで露出
- 神経(歯髄)が露出している
など、見た目では判断が難しいケースも少なくありません。

犬猫の歯が折れる主な原因
① 硬い物を噛んだ
最も多い原因です。
- 硬すぎるガム
- 鹿角
- 牛骨
- プラスチック製おもちゃ
- ケージや金属柵を噛む癖
「歯に良さそう」と思われがちなものでも、実際には破折リスクが高い物は多く存在します。
② 歯周病による歯の脆弱化
歯周病が進行すると、
- 歯を支える骨が溶ける
- 歯自体が弱くなる
結果として、軽い力でも歯が折れたり、ぐらついたりします。
特に小型犬・高齢犬・猫では要注意です。
③ 事故・外傷
- 転倒
- 交通事故
- 他の動物との喧嘩
などによる強い衝撃で歯が折れることもあります。
犬猫の歯がぐらつく原因とは?
歯のぐらつき(動揺)が起こる仕組み
歯がぐらつく最大の原因は歯周病です。
歯周病が進行すると、
- 歯肉炎
- 歯周炎
- 歯槽骨の破壊
という段階を経て、歯を支えられなくなり、歯が動揺します。
犬猫の歯がぐらつくときに見られる症状
- 口臭が強くなった
- ごはんを食べづらそう
- 片側だけで噛む
- よだれが増える
- 口を触られるのを嫌がる
「元気そうだから大丈夫」ではないのが歯の病気の怖いところです。
犬猫の歯が折れた・ぐらついたとき放置してはいけない理由
① 強い痛みを我慢している
犬猫は本能的に痛みを隠す動物です。
神経が露出している破折では、人で言えば激しい歯痛が常に続いている状態です。
② 感染が顎の骨まで広がる
破折した歯や歯周病は、細菌感染の入口になります。
- 根尖膿瘍
- 顎骨炎
- 口腔鼻腔瘻(特に上顎犬歯)
といった、外科的治療が必要な状態に進行することもあります。
③ 全身疾患のリスクが上がる
近年、犬猫でも
- 心臓病
- 腎臓病
- 肝臓病
と歯周病との関連が指摘されています。
参考:
- American Veterinary Dental College
https://avdc.org/
犬猫の歯が折れた・ぐらついたときの検査
視診だけでは不十分
歯科診療では、
- 全身麻酔下での口腔内検査
が非常に重要です。
見た目が軽そうでも、内部で重度の病変が進行していることは珍しくありません。
犬猫の歯の破折・ぐらつきの治療法
① 抜歯
最も一般的な治療です。
- 重度歯周病
- 神経露出があり保存不可
の場合は、痛みと感染源を完全に取り除くために抜歯を行います。
② 根管治療(歯を残す治療)
条件が合えば、
- 犬歯
- 機能的に重要な歯
では歯を残す選択肢もあります。
ただし、
- 専用設備
- 高度な技術
- 定期的なフォロー
が必要になります。
参考:
- 日本獣医歯科学会
https://www.jsvd.jp/
③ 歯周治療・スケーリング
軽度〜中等度の歯周病では、
- 歯石除去
- 歯周ポケット洗浄
- 歯肉ケア
によって、進行を止めることが可能なケースもあります。
犬猫の歯のトラブルを予防するためにできること
① 毎日の歯磨き
理想は毎日。
最低でも週3〜4回を目標にしましょう。
② 硬すぎる物を与えない
「人の爪で跡がつかない物」は、歯を折るリスクが高いと言われています。
③ 定期的な歯科チェック
- 年1回以上の口腔チェック
- 早期発見・早期治療
が、結果的に麻酔時間・治療費・体への負担を減らします。
まとめ|犬猫の歯が折れた・ぐらついたら早めに葛西中央どうぶつクリニックへ
- 犬猫の歯の破折やぐらつきは放置NG
- 痛み・感染・全身への影響が出る可能性あり
- 早期なら歯を残せる治療が可能な場合もある
- 定期的な歯科ケアが最も重要な予防策
「少し欠けているだけ」「まだ食べられているから大丈夫」と思わず、
気になる症状があれば、早めに動物病院に相談することをおすすめします。