院長ブログ

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2026.06.10

歯磨きを嫌がる犬にやってはいけない5つのこと

~愛犬の歯磨きを成功させるために飼い主様が知っておきたいポイント~

「歯磨きをしようとすると逃げる」
「口を触ろうとすると怒る」
「歯ブラシを見るだけで嫌がる」

このようなお悩みを抱えている飼い主様は非常に多くいらっしゃいます。

犬の歯周病は3歳以上の犬の80%以上に認められるとも言われており、動物病院で診察していると歯周病による口臭や歯のぐらつき、抜歯が必要になるケースを数多く経験します。

しかし実は、歯磨きを嫌がる犬の多くは「歯磨きが嫌いなのではなく、歯磨きの進め方に問題がある」ことが少なくありません。

今回は、歯磨きを嫌がる犬に対して絶対にやってはいけない5つのことと、正しい歯磨きトレーニングについて解説します。


なぜ犬に歯磨きが必要なの?

犬の歯には食後数時間でプラーク(歯垢)が付着し始めます。

この歯垢を放置すると歯石となり、歯肉炎や歯周病へ進行します。

歯周病は単なる口臭の原因ではありません。

進行すると

  • 歯が抜ける
  • 顎の骨が溶ける
  • 鼻に穴が開く
  • 顔が腫れる
  • 痛みで食欲が低下する

といった深刻な問題を引き起こします。

さらに歯周病菌による慢性的な炎症は全身へ影響を及ぼす可能性も指摘されています。

そのため世界的な歯科ガイドラインでも「毎日の歯磨き」が最も効果的な予防法とされています。


やってはいけないこと①

いきなり歯ブラシを口に入れる

最も多い失敗です。

人間でも初対面の人に突然口の中へ物を入れられたら嫌ですよね。

犬も同じです。

特に

  • 子犬の頃に慣らしていない
  • 保護犬
  • 高齢犬
  • 神経質な性格

の場合は注意が必要です。

いきなり歯ブラシを使うと

「口を触られる=嫌なこと」

と学習してしまいます。

まずは

  • 顔を触る
  • 口元を触る
  • 唇をめくる
  • 指で歯に触る

この段階から始めましょう。


やってはいけないこと②

無理やり押さえつける

歯磨きを嫌がる犬を羽交い締めにしていませんか?

無理やり押さえつける方法はおすすめできません。

理由は簡単です。

犬は

「歯磨き=恐怖」

として記憶してしまうからです。

一度悪い印象がつくと、その後の歯磨きトレーニングは何倍も難しくなります。

また、

  • 飼い主を噛む
  • 歯ブラシを噛み壊す
  • 口腔内を傷つける

といった事故も起こります。

嫌がったら一旦終了し、

「今日はここまでできた!」

という成功体験を積み重ねることが大切です。


やってはいけないこと③

人間用歯磨き粉を使う

意外と多いのがこれです。

人間用歯磨き粉には

  • キシリトール
  • 発泡剤
  • フッ素
  • 香料

などが含まれている場合があります。

特にキシリトールは犬にとって危険です。

低血糖や肝障害を引き起こす可能性があります。

犬は歯磨き粉を吐き出せません。

必ず犬専用の歯磨きペーストを使用してください。


やってはいけないこと④

一度に完璧を求める

「全部の歯を磨かなきゃ」

と思う飼い主様ほど失敗しやすいです。

最初から

  • 犬歯
  • 前歯
  • 奥歯

全て磨こうとすると犬は嫌になります。

最初は

「犬歯1本だけ」

でも十分です。

慣れてきたら

  • 右側
  • 左側
  • 奥歯

と範囲を広げます。

歯磨き成功のコツは100点を目指さないことです。

毎日30点を続ける方が圧倒的に効果があります。


やってはいけないこと⑤

口臭を放置する

「歯磨き嫌いだから仕方ない」

と放置してしまうケースです。

実は口臭は歯周病のサインかもしれません。

特に

  • 強い口臭
  • 歯肉の赤み
  • 出血
  • よだれ
  • 顔の腫れ
  • 歯のぐらつき

がある場合は要注意です。

この状態になると歯磨きだけで改善することは難しくなります。

歯周病が進行すると歯周ポケットの奥深くまで感染が広がるため、全身麻酔下での歯科処置が必要になります。


歯磨きを嫌がる犬への正しいステップ

当院では以下の方法をおすすめしています。

STEP1

顔を触る

触れたらおやつ。

STEP2

唇をめくる

できたら褒める。

STEP3

指で歯に触る

1秒でOK。

STEP4

ガーゼで拭く

歯磨きの前段階です。

STEP5

歯ブラシを当てる

磨かなくてもOK。

STEP6

1~2秒磨く

成功したら終了。

この方法なら多くの犬で歯磨きを受け入れられるようになります。


歯磨きだけでは歯石は取れません

飼い主様からよく

「歯磨きをしているのに歯石が付く」

という相談を受けます。

残念ながら一度歯石になったものは歯磨きでは除去できません。

また歯周病の原因となる細菌は歯ぐきの下に潜んでいます。

そのため歯周病の評価や治療には

  • 歯科検査
  • スケーリング
  • ポリッシング

が必要になります。


こんな症状があれば受診をおすすめします

  • 口臭が強い
  • 歯石が目立つ
  • 歯ぐきが赤い
  • よだれが増えた
  • ご飯を食べづらそう
  • 硬いものを噛まなくなった
  • 顔が腫れた
  • 歯がグラグラする

これらは歯周病のサインかもしれません。


まとめ

歯磨きを嫌がる犬にやってはいけない5つのことは

①いきなり歯ブラシを使う
②無理やり押さえつける
③人間用歯磨き粉を使う
④完璧を求める
⑤口臭を放置する

です。

犬の歯周病は予防できる病気です。

そして予防の基本は毎日の歯磨きです。世界的な獣医歯科ガイドラインでも、歯磨きは最も効果的なホームケアとされています。

愛犬のお口の健康を守るために、今日から少しずつ歯磨きを始めてみましょう。

葛西中央どうぶつクリニックでは、歯科検診や歯磨き指導も行っています。

「歯磨きを嫌がる」
「口臭が気になる」
「歯石取りをした方がいいかわからない」

など、お口のお悩みがありましたらお気軽にご相談ください。

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